ガリレオ温度計の実験をしてみました、これが案外どころか超・難しい・・・







容器サイズはどれくらい?


ガリレオ温度計を作ろうとすると、密閉容器にビーズなりの重しを入れて中性浮力となるように重量を調整するのですが、容器のサイズによっては重さの調整が非常に難しくなります。

図1:5ml容器と20ml容器

5ml容器での重さ

5mlのガラス製の容器を使った場合、円筒形の容器として体積(底面積×高さ)を計算すると10.943㎤となります、これに水の比重(20℃:0.9982g/㎤)と掛けて中性浮力となる重さを求める事ができます。10.9233g

実際にはキャップの部分が凹んでいますので、少し少ない重さになると考えることが出来ます。 水温23℃の条件で水槽で実験を行ってみたところ約9.5g程度でした。

温度計を作る場合温度差が出るように作る必要があります。そこで単純計算で温度差と重量差を計算すると:

10g x 20℃(0.9982) = 9.982g 
10g x 25℃(0.9970) = 9.970g (20℃との重量差:0.012g)
10g x 30℃(0.9956) = 9.956g (25℃との重量差:0.014g)

となります。。。

すなわち、小さな容器でガリレオ温度計を作ることは非常に難しいことが分かります。

「はかり」で0.01g以下の重さを計量できなければ難しいということが分かります。

当家のキッチン用のはかりで計量できる最小単位は0.1gです、このはかりで計量できる容器はどれくらいでしょうか。

比重データをグラフしてみました:


図2:水の比重グラフ

比重データをグラフ化して10℃、20℃、30℃の温度での重量差を100mlとして見積もると10℃−20℃間で0.15g、20℃−30℃間で0.26gとなりますので、重量差0.15g程度で考えると10℃、20℃、25℃、30℃であれば0.1gの差をつければ温度計となると考えられます。

100mlの体積の容器って・・・

直径4cmで高さ8cmの円柱で100.48㎤(=100.48ml)の大きさの容器を使うとキッチンはかりでガリレオ温度計を作れるかもしれない事がわかります。

直径4cmで高さ8cmの円柱の容器ってどれくらいでしょう?

図3:リステリン100ml容器

みつかりました! 直径4cmで高さは11.5cmありますので、ラベルより少し上くらいの大きさとなります。 これを4本使えばガリレオ温度計ができますが・・・温度計は、小さめバケツが必要でしょうか。

容器の形状は?


0.01gを測定できる「はかり」を使って5mlガラス容器で実験をしてみました。 温度は10℃、20℃、25℃、30℃です、重さは0.01gの差分としました。

図4:水槽実験

重さの調整と実際に水中での調整に4本で2日程かかっています。 25℃と20℃の浮き沈みの差がはっきりでていませんので何らかの原因が他にあるようです。

単体での実験では中性浮力となるように調整しますが、全体で実験する時には4本の容器が浮くか沈むかを確認します。

ここで判明した事は、キャップの形状が沈み始めに影響することです。

キャップ形状が凹んでいると浮いた際に水の表面張力の影響を受けて沈まないということです。

キャップの形状は上側が丸い形状が沈み始めに影響が出ない。

容器の防水性


さらに、一晩おくと重さが変わってしまう容器をチェックしてみたところ容器の防水性が影響していました。 水が容器内へ侵入してしまい重量が変化してしまっています。

5ml程度のキャップでは製造精度上の許容範囲と思われますがキャップの差し込みが少し緩い場合には浸水する可能性があります。

図5:キャップの形状

キャップの形状をよく見ると開けやすいように凹みがつけてあり容器とキャップはほんのわずかに接触しているにすぎません。 ここの当りが弱かったり隙間があると浸水するようです。

まとめ


Web上にはいくつか制作された方がいるようですが、小さな容器でガリレオ温度計を作ろうとすると案外・・・すっごく難しいと感じると思います。

仮に数日であれば、作ったガリレオ温度計は動作する可能性はありますが数週間放置すると水が腐ったり、蒸発して水位が変化しますので何らかの対策を考える必要があるでしょう。

夏休みの工作の場合、学校へ持っていく必要があると思います。 ということは、現実的には大きな水槽か掃除用のバケツに容器を入れて上から見ることになりますので工作としてはあまりいただけない出来上がりになるでしょう。

夏休みの自由研究や工作で、「ガリレオ温度計」を作ろうと考えている小学生がいたとしたら「超難しいよ〜〜〜」と言ってあげたい。