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2014年12月3日

国交省の政策研究「LCCの参入効果分析に関する調査研究」を眺めてみた


「LCC旅客数が2年で2.4倍・・・」という見出しを新聞で見かけた、記事は国土交通省の政策研究レポートを元にしていると思われるのでその調査研究レポートを見てみました。





「LCCの参入効果分析に関する調査研究」を眺めてみた


ちょっと見には145ページもあってかなり長いです。 じっくり読むにも時間がかかりますので、ペラペラ眺めてみました。

レポートは国土交通省 政策研究:LCCの参入効果分析に関する調査研究から入手可能です。


まず、国土交通省は、新千歳、東京、成田、大阪、関西、福岡、那覇を結ぶ路線を「幹線」と定義しているとのこと。

路線種別の旅客数の推移


2011年の旅客数を1.00とした場合の2013年の旅客数を見てみると。
・LCC参入+LCC競合:1.010
・LCC参入     :2.416
・LCC競合     :0.869
・LCC未参入    :0.957
・全国       :1.174

この「LCC参入路線」(LCC参入)は2011年比2.416倍ということになっていて、ここ(とまとめ)だけみると2.4倍増と見えます。 LCC参入によって旅客数が伸びているとみることもできます。

「LCC参入路線」には9路線で次の路線です:

・成田〜新千歳
・成田〜福岡
・成田〜那覇
・成田〜関西

・関西〜新千歳
・関西〜福岡
・関西〜那覇
・関西〜鹿児島
・関西〜長崎

新千歳便


大阪=新千歳、東京ー新千歳をFSCとLCCで前年比でみているグラフ(本編参照)から増加率だけをみると:

CTS-NRT : 2.390
CTS-KIX : 1.657

すごく増加しているように見えますが、総数の増加率はそれほど多くありません。

CTS-NRT/HND : 1.006
CTS-KIX/ITM : 0.909

こう見ると鉄道などからの移転や新規増とは言い難い増加数です、大阪便全体では旅客数は減っています。

福岡便


東京=福岡路線は増加率が高く

FUK-HND/NRT : 1.023
FUK-ITM/KIX : 1.420

しかも、FSCの増加率が高く福岡=関空は前年比で2.58倍もあります。

FSC FUK-KIX : 2.581
FUK-ITM : 1.170
LCC FUK-KIX : 1.657

那覇便


OKA-HND/NRT : 0.913

FSC OKA-HND : 0.892
OKA-NRT : 0.889
LCC OKA-NRT : 2.190

前年比2013年は旅客数が減っています、その中でLCCは2.190倍の増加がありますのでFSC->LCCへシフトしたとみてもいいかもしれません。 

OKA-ITM/KIX : 1.058

FSC OKA-KIX : 0.657
OKA-ITM : 1.076
LCC OKA-KIX : 7.462

大阪=那覇便は全体的には微増といったところでしょうか、関西はLCCへのシフト率が高いとみて良さそうです。

LCCがすごく伸びているとみるのはどうかと思います。


航空運賃の比較


競合や価格競争が激しい路線では、LCCとFSCの差は大きくないように見受けられます。 

関空=福岡線


ピーチアビエーション運行の関西=福岡路線をフルサービスキャリア(FSC)と比較しているグラフをピックアップすると、ピーチアビエーションのハッピーピーチの価格は15,890円〜3,590円と幅があります。 

一方でANAの特割は15,000~13,500円とで上値の価格はANA特割より高く設定されています。 また、ハッピーピーチプラスは19,890~5,290円と普通運賃との差(高値側)はわずか2,010円しかありません。

この関空=福岡路線にはスカイマークの参入がありませんのでFSC vs LCCになっています。 そのためかはわかりませんが、スカイマーク就航している成田=福岡路線と比べると飛行距離を見てもやや高めの設定のように思えます。 

ハッピーピーチの底値が4,590円でこの価格は成田=福岡(ジェットスタージャパン)の底値と同じです。 


成田=福岡線


ジェとスタージャパンが運行している路線の成田=福岡路線は、日航・全日空、スカイマークとの比較グラフとなっています。 

ここで目に付くのはスカイマークの価格が普通運賃で15,800-13,800円、ジェットスターのPlus or Maxの中心値くらいの価格になっていることでしょうか。 

LCCと言っても最安値であればかなり安い航空運賃で搭乗できますが、人気が高いため競争が激しく簡単には購入できませんね。 

そう考えると、スカイマークのの普通運賃15,800円かフリー3の12,800円は使いやすい運賃ではないでしょうか。

こう見るとスカイマークのような独立系中規模の航空会社は運賃を下げる圧力になっていると見ることもできますね。


どうみるか・・・


LCCの効果をどうみるかはもうすこし時間が必要な気がしています。 2012年末に自民政権に変わりましたので2013年は気分的に景気がよくなったように報道的にその気にさせられていますが実際はそれほど景気が良くなってはいないと思います。

LCCの効果をどう測るかはこれからでしょう、新聞的にはLCC成功なニュースが欲しいのでしょうけど・・・どうもそうでもなさそうな感じもありますね。

価格面では、LCCが参入することで値下げ圧力がすこし働いているとは思いますが、スカイマーク参入路線ほどの値下げ圧があるようには見受けあられません。 スカイマークは予想以上に運賃を下げる圧になっているように思えます。

USサウスウェストほど常時安いというわけでもなさそうなので、日本のLCCはすこし注意して利用したほうがいいかもしれませんね。


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